やたら勿体つけたタイトルつけちゃいましたけど、菓子業界というか菓子メーカーに、最近ちょっとした変化が見えてきました。

それは、100円均一ビジネスがもうすぐ終わりそうだってこと。

ひとまず豆豊詳細報告。

信じ難いことに、今回これら豆豊の激売れ100均シリーズが終売となります。

今回終売となる商品群を一覧で紹介しときます。

左上から

  • 味付落花生
  • グリーンピース
  • 塩豆
  • 落花糖
  • バタピー
  • ザラピー
  • 揚塩ピー
  • つぶっこ

これ以外にもフライビーンズとか、磯小町とか色々何種類かあるんですが、もうウチの在庫がこれだけしかないので、ビシッと写真撮影しときました。

代わりまして、これら400円上代(定価)の商品群に生まれ変わります。

味付落花生220g、アーモンド(塩味)90g、ジャイアントコーン140g、素焼きクルミ80g、素焼き落花生220g、素焼きアーモンド90g、ポタージュジャイコーン120g、磯の華80g、バターピーナッツ230g、アーモンド&ピーナッツ110g、ピスタチオ80g、煎り大豆200g、フライビンズ150g、アーモンドフィッシュ60g、カシューナッツ70g、黒糖バナナチップ200g、塩豆170g

落花糖190g、えびのり170g、駿河茶豆130g、つぶっこ160g、味噌ピーナッツ180g、千代豆170g、柚子胡椒玉110g、柿ピー180g、磯小町160g、赤ソフト170g、カレー玉110g、山葵豆120g、うす塩ピー170g、ミックスピー160g、マヨ玉110g、イカピー170g

なんか、山葵豆が新商品なんでしょうか。うまそう。

10年~15年前ころから、突然ワラワラと100円商品が出始めてきた。

菓子業界では、ドラッグストアや100均ショップが出始めた10年〜15年前あたりから、各社こぞって100円均商品をリリースしてきました。

  • ぱりんこ
  • 雪の宿
  • かりんとう
  • パインアメ
  • 佐久間いちごみるく
  • サクマドロップス
  • 柿の種
  • レーズンチョコ
  • 鈴カステラ
  • ハードビス系
  • 鉱泉せんべい

とまぁ、ありとあらゆるお菓子がリリースされ、ガンガン100円で飛ぶように売れていきました。

100均ショップが出てきた頃は、それは楽しかったですよね!
今までそんな低価格でなんでも買えるお店なんて存在しなかったし、普通なら200円くらいするせんべいやチョコレートが、ちゃんとした正規品の綺麗な包装なのに100円で買えちゃうんですから。
それも、どこぞの中国製の怪しいメーカーとかではなく、ちゃんとした日本の一流メーカー品が、ですよ。

そしてメーカーも消費者も100円が当たり前の時代に突入していく

これによって、消費者は一気に低価格路線に目を向けていき、むしろいままで高かったのは一体なんだったんだと購買時に疑いの目で見るようなきらいまで出てきました。

一社がやれば他もみんなやる。
これによってメーカーや販売店はこぞって100均商品を作りまくって売りまくるようになりました。
ライバル社が100均商品をリリースすれば、当然類似の商品を作っているメーカーは負けじと100均にしますよね。

ぱりんこが100均になれば、ハッピーターンも100均になるように。
ドンキホーテが100均を扱えば、ドラッグストアでも100均を扱うように。

さらに販売店が独自にメーカーに作らせた100均パッケージのプライベートブランドなるものも出てきました。

これもうポテコにしか見えないんだから、ポテコ売れば良いじゃないの。

メーカーの悲鳴、品質の低下

ところが最初は安い安いと喜んでいた消費者も、10年もすれば慣れるもので、100円で買えるのが当たり前だという認識にかわってきました。

するとどういうことが起きてきたかというと

今度はメーカーが、消費側にあおられるように100均で売り続けなければいけない逆転現象が発生してきてしまいました。
なんでもかんでも原価高騰の現代にあって、100円で売らなければいけないから、今度は品質を落としてでも原価を抑えて売るすようになってきたんですね。

昔は、より美味しいものを消費者に提供するために味に磨きをかけていたのが

今はいかに消費者に分からないギリギリのラインまで品質を落として、ギリギリまで価格を維持させようというモチベーションに変わってきてしまったんですね。

あるせんべいメーカーは、自社の主力商品を100均で売りだしたところ、ものすごく売れるようになって業績を伸ばしたので、100均に力を入れて作りまくって売りまくりました。
そうしたら、それに慣れた消費者は、このメーカーの主力商品は100均で買えるものだ。

主力商品=100円の価値なのだ。

という認識になっていった。
この時点でかなりブランド力、価値を落としてしまっています。

しかし薄利に耐え兼ね原価率を落とすため、今度は原材料の米を国産から中国米に変えて生産するように。

すると当然味が落ちる。
原価と売価のために、品質とブランドを落としてしまったわけですね。
そうして安いものを求めた結果、巡り巡って消費者まで損をするわけです。

だって、昔と同じ美味しかったあの商品を食べたいじゃないですか。
あんなに好きだったのに、不味くなってしまうなんて嫌じゃないですか。

それでも作り続ける理由は、100均で求められるから、売らないといけないから。
売れる量としてはものすごい売れますよ。
なんたって安いから。
たくさん売れるけど、ものすごく薄利です。
原価率が高いから。
ものすごく薄利な商品を、工場では必死にフル回転で作りまくるわけです。

そうして、メーカーは市場の価格競争にまきこまれ、非常につらい思いをしてきました。

とまぁそんな暗黒時代が15年くらい(体感)続いて、現在。

最近はですねー、メーカーの逆襲が始まったように感じますよ!

「もう100円の商品作るのやめよーぜ!」みたいな空気さえ感じますよ

この豆豊さん、静岡の老舗豆メーカーで、全国展開してますし、静岡の有名スーパー、ドラッグストアでもどこでも一等地で展開している商品ですよ。
おそらくこの100均シリーズは、豆豊の年間売上のかなりの部分を占めていると思います。

これを今回終売にしたという決断。

先日配達に来ていただいた海老蔵似のイケメン専務。(もう社長かも)
いや、英断だと思いますよ。まじで。

ガッチリ体格の良い感じのまさに海老蔵といった面持ちでしたが、先日お会いしたら、細々変わり果てた姿になり、なんだか心配になりました。
一体何があったのかと聞いたら、とにかく100均を作るのが大変で年末休む間も無くて、10kg痩せたとかなんとか。

なるほど…それで100均シリーズやめちゃうんですね。
でもかなり勇気のいる決断だったんじゃないのかなと思いますが、続ける以上に辞める方にメリットがあったのでしょう。
販社や消費者の求めるがままに、体を壊し設備や従業員に負担をかけてまで、薄利で作り続ける必要は無いと、つまりそういうことなんですね!

今後は同商品(中身)の300円〜400円で売れる、昔ながらの大袋に詰めて販売を続けるそうです。

と、このように、おそらく大手から中小まで、まったく同じ状況が展開されているのだと予想します。

長く続いた安売りの時代は終わった

メーカー < 販売店

コンビニやスーパーに
「売ってあげるからアレ作ってコレ作って」
「売れなかったからアレ返品コレ返品」
「アンタんとこの商品でウチのPB展開することになったから、この袋に商品詰めて」

メーカーが販売店の言いなりになってヘーコラしてきたこのパワーバランスが、逆転しつつあるのかもしれない。

というわけで、豆豊100均モノ、お店にあるだけです。
よろしくお願いしまーす。

ABOUTこの記事をかいた人

フリーペーパーの編集、量販店バイヤーを経験したのち、実家の家業である菓子問屋「あまのや繁田商店」を継ぎ4代目に。 旅とバイクとコーヒーが好き。