そうか、商売ってのは都こんぶみたいにやるものか。中野物産「甘スッパ おやつ都こんぶ」

今日はアノすっぱくて旨~い旅のお供「都こんぶ」の中野物産さんを勝手に深堀していきますよ。

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まずは新商品の方をご紹介。

駄菓子の新商品が入ってきました。
中野物産「甘スッパ 都こんぶ」
パッケージがあまりにも今風なので、どっか違うメーカーの商品かなと思ったら、きちんと中野物産でした。
見た目は完全に珍味というより駄菓子枠ですね。

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そして一番人気の定番品と比べてみる。

こちらは皆さんご存知、ふつうの都こんぶ。100円。
味の方も皆さんご存知の、アノすっぱしょっぱく、ジャリジャリっとした粉の付いた、香り豊かな昆布の風味が口の中いっぱいに広がるあの味です。

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で、こちらが新製品の甘スッパの方。
見た目は大体同じなんですが、普通の都こんぶよりも、すっぱしょっぱを抑えたマイルドな味わい。
今風のパッケージデザインに合わせて、味の方も今のこどもに合わせて低刺激って感じです。

と、レビューだけしてもつまらないので、いつもの様にメーカー掘り下げ。

→中野物産公式webサイト
http://www.nakanobussan.co.jp/index.html
トップページのスライド写真がとっても良い感じ。
オレンジと黄色に塗装された、都こんぶ仕様の営業車などめちゃくちゃカッコいいです。

中野物産株式会社
創業 6年
設立 34年

フムフム今年で創業85年くらいですか。
製造工程は…と
http://www.nakanobussan.co.jp/miyako/index.html
荒漬け→荒切り→上漬け→さばき→粉まぶし→プレス→大切り→小切り→計量→包装→梱包
と多くの行程を経ていますが、際立って気になるのは「粉まぶし」でしょう。
説明によると…

『都こんぶ』の表面に付いている白い粉。“魔法の粉”とも呼ばれている秘伝中の秘伝。惜しげもなくたっぷりとまぶしていきます。

とのこと。
でたー!魔法の粉!しかも秘中の秘。
魔法の粉はハッピーターンだけが専売特許じゃない!
そうそう、あの表面に付いてるスッパイ白い謎の粉、気になりますよねー。

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白湯に2~3枚漬けると即席本格昆布茶とかもできます。

都こんぶヒストリー

http://www.nakanobussan.co.jp/miyako/history.html
やっぱ古参メーカーの黎明期の話は面白いですよね。
かいつまんでお伝えすると…

創業者の中野正一さん、昆布問屋にて奉公中くず昆布を見て
「こんぶに味付けしたらお菓子になるんちゃうやろか?もしかしたら売れるんちゃうやろか」
→19歳で独立
当初は前の晩に作った商品を翌日に売る、といった規模の店で一人で運営。そして昭和18年出征。休業。
昭和21年に帰ってきて、事業再開。現在の都昆布の原型、黒蜜酢漬けの昆布菓子を発売し、駄菓子&紙芝居ルートを中心に営業
「もっと人の集まるとこにいかなあかん」
→ポケットサイズで真っ赤なデザインの大人用パッケージを開発。
「ハイキングに、旅行に、観劇に是非皆様のお友に」というキャッチフレーズをひっさげ映画館や演芸場、鉄道キオスクに営業強化!知名度up!
当時では珍しくCMラジオに有名タレント起用でイメージup!

そんなこんなで不動の地位を占めていったそうです。
捨てられるはずだった端材の昆布を商品化してブランディングして。
やっぱスゴイですね、昔の人の商魂は。
あのソニーも昔は饅頭売ってたって言うし、戦後はどこも必死に生きるため売れるものはなんでも売ってたんでしょうねぇ。

今のウチの商売にも、なにか応用ができないか、考えちゃいますねぇ。

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そしてこれは公式webサイトにも載ってない裏情報。「都こんぶフレーバー調整説」

どうも古くから都昆布に親しんできた人には、ある瞬間からガラっと味が変わったそう
お菓子でも何でも、マニアな人ならドヤ顔で良いそうな「いかにも」な話なんですが、どうも本当の話のようです。

何度か紹介している著書「お菓子帖」からの抜粋。

この著者さんはウワサ話から実際にメーカーへ取材に言って確かめるから面白い。

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昭和四十八年、石油ショック。このころ日本の菓子業界はかなり危機的状況に置かれていた。
昭和四十四年あたりに人口甘味料の問題が起こって砂糖を使用するようになったため材料費が高騰、おまけに石油ショックで包装材も高騰する。
とにかくあらゆるモノが高くなってしまったのだ。
十円単位だったお菓子の値段が五十円、百円の今のような単位になったのもこの頃である。
「特に、人口甘味料のときは大変でした。何しろ同じ甘みといっても人口甘味料と砂糖では味が違う。どうやったらシックリとくる味が作れるか研究したものです。あの頃、日本中のお菓子の味が変わったんじゃないでしょうか。ウチの場合は、この頃に柔らかくて食べやすい養殖昆布を使うようになりましたから、大体昭和五十年ごろを境に、確実に味は変わっています」

うーん、日本のお菓子業界の変遷をかいま見た。

この本は当店の本棚にありますので、いつでも閲覧可能ですよ。

ABOUTこの記事をかいた人

フリーペーパーの編集、量販店バイヤーを経験したのち、実家の家業である菓子問屋「あまのや繁田商店」を継ぎ4代目に。 旅とバイクとコーヒーが好き。