駄菓子界の大御所「フィリックスガム」の、あのキャラクターにまつわる謎を追う。

丸川製菓からとんでもないサンプルが送られてきまして、個人的に震撼が走りました。

マルカワ「フィリックスガム ラムネ味」

見てくださいこのデザイン。
完全に本家の黒猫フィリックス・ザ・キャットそのものです。
無声映画の頃はウォルトディズニーのミッキーマウスにタメはる人気であった、あのフィリックスさんそのものですよ。
いまにも動き出しそうなほどそのものじゃないですか。

そのものって三回言いましたが、なんでそれがそんなに驚きなのか、この商品の歴史を紐解いていきます。

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まず、フィリックスガムの歴史を紐解く。

こちらは初代フィリックスガム。
昭和37年、「フィリックス・ガム」として(このデザインで)誕生。
本家のあの、動き出しそうな愛らしい、あの黒猫フィリックスには程遠いです。
むしろドラねこドラちゃんと名のつきそうなこのキャラクター、マルカワ社長さんのインタビューによると、あくまで「熊」をモチーフにして作られたそうです。
キャラクターの名前は「フィリックス」。
世間はあのフィリックス・ザ・キャットと勘違いしていたが、あれを意識して作られたモノではないとのこと。

うそつけー!

その後、世間様がフィリックス認識ならば、じゃあ今後ソッチで行きましょうということで、正式に版権を取得。

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でも絵がそのままドラネコドラちゃんのままなので、フィリックスのイメージを損ねる、と版元に言われ(!)、紆余曲折を経て現在のデザインがコレ。
ほぼ本家のフィリックスですが、どことなく昔のドラネコを彷彿とさせる趣です。
ドラネコフィリックスガムのデザインの方はせっかくなのでもったいないので残しといて、「エフエックスガム」に改名。

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それが5月からコレですよ!

完全にフィリックス・ザ・キャットじゃないですか!
いやー、やってくれましたね、約半世紀の時を経てようやくこれが完全体といったところでしょうか。
寂しくもあり、寂しくもあり。
でもめっちゃ可愛いです!

ですが、現行品もデザインそのままに続行していくということで、ひと安心。

ドラネコデザインの方は、セブンパックというセット品の方でまだ生存中ということで、こちらも現役です。

マルカワも色々商品ラインナップありますが、数あるマルカワ商品群の中ではいまだに「フィリックスガム」がぶっちぎりのトップセールスらしいです。
うーむ、それはそれで興味深い。
でも半世紀以上前に作られた商品に頼っていて良いのかマルカワさん。

このあたりの講釈は、もちろん僕みたいなもんが取材して調べてきたわけでもなんでも無いので、元ネタがあります。

こちらいつもの綱島理友「お菓子帖」。

引用文を書いときます。

『フィリックス』ウワサの真相
フィリックス・ガム……丸川製菓

かなり前、フィリックス・ザ・キャットのプームというのがあったのを覚えている人はいますか。八〇年代の前半くらいだったと思うけど、昔、そういうプームがありました。
で、その時一躍注目を集めたのが「フィリックス・ガム』である。
なんだか知らないけど、みんな食べてましたよね。
しかしプームは去った。
でも、このガムを知っている人は今も多いと思う。
そもそも、このガムはそんなプーム以前から、駄菓子屋お菓子のジャンルでは、確固とした地位を確立していたガムである。
しかし昔、あのガムの包み紙に書いてあったフィリックス君の絵はすごかった。

何がすごいって、「ドコがフィリックスなんだ」と思うぐらいまったく絵がフィリックスくんに似ていなかったのである。
「しかしまあ、コレをフィリックスと言い切る根性はたいしたモノだ」とボクなんぞは感心して見ていたぐらいだ。
なにしろその絵はどっちかというとフィリックスくんというよりも、ドラネコドラちゃんとかいった名前がピッタリときそうな黒猫みたいなモノだったのだ。
ところがこのガムの包み紙には、あのプームの後、ドラネコの絵は姿を消して、ちゃんとしたフィリックスくんの絵が描かれるようになった。
やはりあの絵では世間は納得しなかったのか、アニメと寸分違わない顔の、まともなフィリックスくんの絵が登場した。
これで世間は「うーん、コレは確かに「フィリックス・ガム』だ」と納得したかもしれなしが、ボクはなんとなく寂しかった。
今となってみれば、あのドラネコ顔がなっかしい。
ボクは、ニセ者つばさこそがあのガムの雰囲気だったのに…と思った。
なにしろ、きちんとしたキャラクターの絵が描かれた「フィリックス・ガム』は、なんとなく堅苦しくワクにはめられたみたいな感じがあった。
そもそも、昔の駄菓子屋に並んでいた商品のほとんどは、ニセ者っぽいワクにとらわれない自由な雰囲気があったのだ。
あの見事なまでのいいかげんさというのが良かった。

ところが、 ところがですね、九〇年代のはじめにあのガムの包み紙から、ちゃんとしたフィリックスが姿を消して、再びかってのドラネコ・フィリックスが堂々とカムバックしたのである。
やはり世間にはボクのような人が多かったのだろうか、ドラネコは力強く復活したのである。
「よかったじゃないの」ボクはドラネコ・フィリックスを祝福してあげたい気分になった。
ところが、つい最近、 ヘンなウワサを耳にした。
それはどういうウワサかというと、「あの『フィリックス・ガム』の復活したドラネコは、昔のドラネコとは別人で、新しく登場したのは猫ではなくて熊なのだ」というウワサであった。

しかしウワサというのはいつもいい加減なモノだけど、日頃、お菓子を追跡しているボクとしては見逃すワケには行かない。
ボクはこのウワサの真偽を確かめるために、さっそく『フィリックス・ガム』を購入しに近くの駄菓子屋に走ったのでした。

そして買ってきて包み紙を点検する。包み紙の背景などは、確かに昔の「フィリックス・ ガム』とは違うような気がする。
そして、Felixと英文で書いてあった名前が、単にFXと短縮形みたいな表記になっていたのにも気がついた。
しかし、かんじんのドラネコの絵の方を観察した結果は、なんとなく昔とは別人と言われればそんなような気はするけど、でも、同じと言われればそんな気もしてしまうという、 つまり「なんだか、よくわかんない」という結論だったのである。
こうなりゃ、もう、発売元に出かけていってウワサの真相を確かめるしかない。

ボクはそう決意して出かけるコトにした。
このガムは名古屋にある「丸川製菓』という会社が作っているのだが、調べてみると発売元は同じ名古屋の「エム・ケイ・ジー』という別の会社であった。どっちに行くべきか迷ったが、とりあえずボクは発売元に出かけていった。
東京から新幹線で乗り込んでやって来たボクの応対に出てくれたのは、『エム・ケイ・ジー』の中村さんという課長さんと、脇本さんという女性の方であった。
ボクがココまで訪ねてきた理由の「ドラネコ・フィリックスのナゾ について説明すると、中村さんがまず話を開始した。
「そもそも、あの「フィリックス・ガム』を始めた頃…、そうですね、あのガムが初めて登場したのは昭和三十七年ぐらいなんですがね…、あのガムは別にフィリックス・ザ・キャットを意識して作ったモノではないのですわ。
最初、あのキャラクターはクマだったんですよ。
こっちとしてはあくまで熊のつもりだったんです。
熊のフィリックスってヤツだったんですね。
ところが、名前がフィリックスだったもんで、世間は『フィリックス・ザ・キャット』だと思い込んだんですね。
でも、それはそれでいいじゃないか、というコトになって、フィリックスの版権を持ってる会社できちっと版権を取りましてね、正式に『フィリックス・ザ・キャット のガムとなったんですわ。

しかしこの時は綱島さんが言うドラネコ・フィリックスの絵はそのままで発元しとったんですが、その後、版権を持っている会社が別の会社になりましてね。それで、あの絵ではちょっとフィリックスのイメージを損ねるので困るというコトになって、あの絵を廃止してきちっとしたフィリックスの絵にしたんですわ」なんと、最初つから「フィリックス・ガム』のフィリックスは熊だったのだ。

「それで、しばらくやっていたんですけど。ウチの会社では結局、あの形のフィリックス・ガムは廃止して、別の形で続けようというコトになったのです」今まで黙っていた脇本さんが中村さんの話を引き取って説明を続けた。
「で、今、ウチで「フィリックス・ガム』と名のっているのは一個五十円の大きいサイズのガムだけなんです。コレはちゃんとしたフィリックスの絵がバッケージの箱に描かれたガムです。
そして十円の方は、今は「FXガム』という名前で新しく販売してまして、こっちのガム 方はキャラクターに昔の『フィリックス・ガム』のあの熊バージョンの絵を使っています。
さらに熊らしさを強調しようというので、ちょっと耳を短くしたり、ホオの毛を二つにわけ  たりして、昔の絵と少し違っているんです。
しかし、そんなに変わったワケじゃないんですけどね。よく、まあ、見破りましたね」ついにウワサの真相は突き止めた。

たまにはウワサが真実を言い当てているコトもあるんですね。

だいたい僕のお菓子・駄菓子に関する知識はこのお菓子帖と共にあります。

小学校の頃に読んだやつですけどね。
でもこの方、朝日新聞にコラムで執筆していたみたいですけど、きちんと推論を立ててそれを基にメーカーに取材に行き、または電話で広報にお聞きして、それを基に記事を書いてる。
キチンとしたジャーナリズムですよね。

それが当たり前なんでしょうが、最近では僕も大いにそうなんですが、ネットでだれかが書いてたブログや、Wikipediaに書かれていたことをそのまま自身のメディアに書き連ねるものだから、要は伝言ゲームみたいなもので、情報の劣化はあるだろうし、そもそも元ネタが間違っていたらどうすんだっていう、なんかそんな不安になりますよね、ほんと。

まぁ個人ブログのそういうのは、僕も含めですが!ウワサ話程度に構えておくのがいいかもしれませんね。
やっぱプロのジャーナリストはすごい。
僕もできるだけ、メーカーの方に聞いたことを記事にしようと心がけます。

話が逸れました。

さて一応レビューっぽく中身を見ておきましょうか。

はいハズレ。
このドキドキ感がいいですよね。
ひさびさ味わいましたよ。

そういえば昔からこんなアミダクジついてますよねー!なつい。

だんだんクビレが深くなっているという噂のこの溝。
こちらの真相も、セールスさんに確認しておきますね。

追記→セールスさんに確認しました。
クビレの深さは昔も今も変わってないそうです!
ごめんなさいマルカワさん!!

もぐもぐ。
うっわ何十年ぶりに食べただろう、フィリックスガム。
味はイチゴ味らしい。
イチゴ味っていうかもう、マルカワガム=フィリックスガムの構図が完成されちゃってるから、イチゴ味っていうかもうマルカワガム味と言っても過言ではありませんな。

いまだに丸川製菓の売上の50%がこのフィリックスガムだという事なので、そりゃもうビックリですわ。
子供の頃は、これが美味しくて美味しくて、釣られてなんだかこのドラネコフィリックスが愛らしく思えたものです。

一言。
でもちょっと、そろそろ本当に第2のフィリックス並のロングセラー品を生み出さないとなんじゃないでしょうか丸川さん!
今までとはまったく違うアプローチが必要だと思うんですよね。

あの伝説のガム蜜のような。
また事務所から怒られちゃうからダメか。

→フィリックスガム 販売ページ
http://amanoya.shop-pro.jp/?pid=85428003

ABOUTこの記事をかいた人

フリーペーパーの編集、量販店バイヤーを経験したのち、実家の家業である菓子問屋「あまのや繁田商店」を継ぎ4代目に。 旅とバイクとコーヒーが好き。