「ご当地スーパーマーケット」

【2026年追記】 この記事は2014年7月に書いたものです。「ご当地スーパーマーケット」という本に強く影響を受けて書いた、当店のアイデンティティを形作った一本です。
あれから12年、本に掲載されていたメーカーのその後、そしてこの”昔からある良いモノ”を守り続けるという考え方が、現在の駄菓子アーカイブ構想にどう繋がっているのか——
記事末尾の「12年後、ご当地メーカーの運命と、駄菓子アーカイブへの道」に加筆しました。

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今日はちょっと大好きな本を紹介したいと思います。

「ご当地スーパーマーケット」

当店新店舗の商品ラインナップやマインド的な部分でも非常に影響を受けている本です。
本の内容は、全国のご当地スーパーを巡って発見したその土地独特の商品を47都道府県ごとにピックアップする、というものです。
お菓子だけでなく調味料や飲料なども多いんですが、むかーーーしからあって、その姿も味も値段も変わらないもの、ロングライフな商品という点で非常に共感を得ます。

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47都道府県すべて掲載されていますが、気になったところだけ。

石川県。
タチ製菓所「すはま」、直源醤油「厳選素材ドレッシング」、鍛冶商店「頭昆布」、カナカン「紺のり」、直源醤油「醤油飴」、徳島産業「とり野菜みそぽん酢」、まつや「とり野菜みそ」、直源醤油「丸大豆醤油・もろみの雫」、北陸製菓「ハードビスケット」、福光屋「FUKUCUP200」、ゆせん玉子本舗「ゆせん玉子」、一川商店「まるいちみそ」、羽二重豆腐「羽二重豆腐」、うずまき酢「うずまき酢の素」、直源醤油「めんつゆ」、宮田麩製造「加賀車麩」、シンヤ「たらの子」、石川醤油「うすくちしょうゆ」、ヤマサ商事「いしる」、谷口製飴所「吸坂飴」、比賀商店「寿し昆布」、ヤマト醤油味噌「ごまみそ」

ロングライフお菓子の筆頭選手!北陸のハードビスがありますネ。
他には飴、味噌、酒、つゆ、麩、昆布、海苔、温泉卵
「すはま」は石川県出身の方にとっては目を細めて懐かしむほどのモノだそうです。
醤油飴というのも気になる…塩飴は多くても、醤油をフレーバーに使う飴はそう多くないですね、カンロ飴以外思いつかないです。

おすすめスーパー(右下)は「カジマート」「ダイヤモンド」
小規模でかゆい所に手が届くそうです。
ウチもそうありたい。

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長野県。
ニチノウ食品「野沢菜漬の素」、小宮山製菓「サラバンド」、飯島商店「みすず飴」、原山製菓「鉱泉せんべい」、森食品工業「あんずジャム」、ヤマヨ食品工業「米の粉」、喜多の国「高等番茶」、山本食品「七割そば」、舛田屋食品「雪んこそば」、日穀製粉「ホームラン印 中力小麦粉」、マルキ醤油「しょうゆ豆」、八幡屋磯五郎「八幡屋磯五郎の七味唐辛子」、とをしや薬局「つけなの素」、ニチノウ食品「あさ漬大根の素」、マルゴ商店「寒天」、林農園「五一ワイン」、七笑酒造「七笑」、オブセ牛乳「オブセ牛乳」、信州ミルクランド「Meito牛乳」、アルプス「塩尻ワイン」、松田の牛乳「松田乳業」、早漬たまり「信州長野醸造」

半生菓子の聖地長野県からは小宮山製菓のサラバンドが気になります。
信州の定番お土産「雷鳥の里」のメーカーですからねー、大好きです。

飯島商店「みすず飴」は、成城石井とか久世福商店などでも見かける絶賛ブレイク中の半生菓子。
言わば半生菓子界のスーパースターですよ。
先日初めて食べてみましたが、一般的な寒天ゼリーよりモッチリした触感が印象的で、美味しかった!

おすすめスーパーは「マツヤ」
創業大正3年、長野東北に24店舗。従業員さんがフレンドリーらしいです。

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我等が静岡県です。
鳥居食品「万能みかん酢」、三浦製菓「ポテトチップス」、SSKセールス「まぐろフレーク味付」、SSKセールス「ぎんなん水煮」、はごろもフーズ「はごろも煮まぐろ味付」、伊藤食品「鮪味噌煮」、カネ松製茶「ほうじ茶」、鳥居食品「昔ながらのウスターソース」、鳥居食品「昔ながらの中濃ソース」、あらしお「あらしお」、鈴木醸造「浜納豆」、京丸「うなびボーン」、辻村製粉「上新粉」、ハラダ製茶「銘茶」、静岡牛乳「富士の国から」、杉山剛士商店「おいしいぼう茶」、カメヤ食品「わさびドレッシング」、鈴勝「ワサビ印ウスターソース」、田丸屋本店「田丸屋のお弁当わさび」、井出種畜牧場「いでほく牛乳」、三浦製菓「お茶羊羹」、坂庄物販「きくらげ」、JAしみず「ぎんなん」、大川食品工業「安倍川きな粉」、静岡やまき屋「やまき屋のこうせん」

流石によく見るやつが多いですね(笑)
三浦製菓の「ポテトチップス」や京丸の「うなぎボーン」こそ、ウチがやるべき商品だと思います!

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そしておすすめスーパーは「静鉄ストア」
ご当地には違いないですけど、やっぱり静岡人は「スーパーもちづき」が静岡人の心ですよねぇ…

地産地消が叫ばれて長いですが、目立って消費されるのは農産物や海産物に偏っていて、ご当地メーカー商品は蚊帳の外な印象です。
やはりお店に行くと大手メーカー品のキレイなパッケージが並んでいて迫力ありますが、地元で大手メーカーよりもずっと昔から今でも頑張って、それこそおじいちゃんおばあちゃんが二人で製造し続ける小さなメーカーも沢山ありまして
「最近あの商品入ってこないねーどうしたの?」
「おじいちゃんが足くじいちゃって。」
みたいなノリなんです本当に。信じられないことに。

というわけで、ウチの新店舗にはいつ無くなってもおかしくないお菓子が並ぶと思います。
関根商店のさくら棒とかもそうですよ!
ご当地や地産地消にこだわるワケではないんですが「昔からある良いモノ」を探して提供していきたいな、と思ってます。


【2026年追記】12年後、ご当地メーカーの運命と、駄菓子アーカイブへの道

この記事を書いたのが2014年7月。あれから12年経って、「ご当地スーパーマーケット」の本に掲載されていたメーカーたちは、どうなったでしょうか。

そして当店は、この本から受けた影響を、どう現在の形に発展させてきたか——改めて書き残しておきます。

2014年の記事で紹介した3県のメーカーのその後

石川県

  • 北陸製菓「ハードビスケット」「ビーバー」——2014年には「ロングライフお菓子の筆頭選手」と書きましたが、2020年代に入ってビーバーが全国的大ブレイク。D&DEPARTMENTとのナガオカケンメイデザイン、2024年ドラえもんコラボ、2025年ローソン「からあげクン ビーバー風味」まで到達。関連記事:菓子業界のパッケージデザインについて思うこと、北陸製菓ユレーカ
  • タチ製菓所「すはま」——石川県の方の郷土菓子として現役継続中
  • 直源醤油「醤油飴」——金沢の伝統菓子として現役

長野県

  • 小宮山製菓「サラバンド」「雷鳥の里」——信州土産の定番として現役継続。当店の加筆記事で詳述:雷鳥の里とサラバンド
  • 飯島商店「みすず飴」——2014年時点で「成城石井で絶賛ブレイク中の半生菓子」と書きましたが、現在も半生菓子界のスーパースターの座を維持。大正時代から続く商品
  • 原山製菓「鉱泉せんべい」——鉱泉せんべい文化のひとつ。当店の竹屋カルルス記事で深掘りした、チェコ・カルロヴィ・ヴァリに発する温泉菓子の系譜のひとつ

静岡県

  • 三浦製菓「ポテトチップス」「お茶羊羹」——地元伊豆の継続品。「ウチがやるべき商品」と2014年に書いた通り、以降当店の棚にも並べ続けています
  • 京丸「うなぎボーン」——浜松の名物として現役
  • 関根商店「さくら棒」——記事末尾で「いつ無くなってもおかしくない」と書きましたが、2026年現在も現役。ただし後継問題は常について回る
  • 鳥居食品「昔ながらのウスターソース/中濃ソース」——静岡の中堅ソースメーカー、現役

12年の間に消えていったメーカー・継承されたメーカー

この本に掲載されていなかったメーカーも含めて、当店が接してきた12年の間に、たくさんの小さな菓子メーカーが消えました。駄菓子屋4代目として、繁田が記録してきた主な出来事:

  • 2017年——梅の花本舗(元祖梅ジャム)廃業。関連記事:ソースせんべい・関東の壁 第2弾
  • 2018年——雷屋(キングカレー・お好み焼き風せんべい)廃業。「問屋や販売店、お客様に迷惑をかけたくない」との社長意向で、倒産ではなく品位ある廃業。関連記事:雷屋廃業の記録
  • 2019年——みやま食品工業(さくら大根)廃業、遠藤食品が継承/稲吉製菓(花串カステラ・鈴カステーラ)廃業/井桁千製菓(トンガリ)廃業/ほさか栗せん(沼津銘菓)製造休止
  • 2021年——アメハマ製菓廃業/ほさか栗せん復活(沼津大手町でリニューアルオープン、関連記事:ほさか栗せん復活の記録)
  • 2022年——ダイケン製菓所(フラワーヨーグル)廃業、神谷醸造食品に譲渡
  • 2023年1月——佐久間製菓(赤缶サクマ式ドロップス)廃業。映画『火垂るの墓』でおなじみの赤缶が消えた瞬間。関連記事:ふたつのサクマ 赤缶廃業の記録
  • 2024年——明治チェルシー終売。「あなたにもチェルシーあげたい」53年の歴史に幕

一方で、承継されたケース、復活したケースもあります。消えるだけじゃないのが、この12年の救い。

「ご当地スーパーマーケット」の本と、2026年の繁田の視点

2014年の繁田は、この本を読んで「地元で大手メーカーよりもずっと昔から今でも頑張って、それこそおじいちゃんおばあちゃんが二人で製造し続ける小さなメーカーも沢山ある」と書きました。

12年経って、改めてこの文章を読み返すと、まさにこの気持ちが、現在の繁田を駆動している 核 だと再確認します。

当店がこの12年で発展させてきたこと:

  • 消えていくメーカーの記録——ブログで加筆記事シリーズ化(オリオンミルクパック終売、傘チョコ文化の終焉など)
  • 復活したメーカーの記録——ほさか栗せん、ビンラムネなど。消えるだけじゃない物語
  • 生き残り続けるメーカーの深掘り——植垣米菓鴬ボール、西島製菓棒きなこ当、関口製菓はっか糖、カニヤ乾パン、竹屋カルルス、ミナツネあんず、など

そして2026年、「駄菓子アーカイブ」の試み

この12年の記録を踏まえて、2026年10月、当店は「駄菓子アーカイブ」という試みをスタートしました。

👉 あまのや繁田商店 駄菓子アーカイブ

過去に発売された全国の駄菓子・銘菓を、商品名・メーカー・発売年・終売年・分類・コメント付きで記録していくデータベース。現役商品・終売商品・幻のメーカーの逸品まで、できるだけ薄く広く記録することで、”存在した“ことを残していく——というのが、根本的な動機です。

これはまさに、2014年に「ご当地スーパーマーケット」の本から受け取ったバトンを、デジタル時代の形で引き継ぐ試みです。本は紙に印刷された瞬間に時間が止まりますが、デジタルアーカイブは継続的に追記・継承できる。

  • 石川県の北陸製菓ビーバー——登録済み(2020年代ブレイクまで追記)
  • 長野県の雷鳥の里・サラバンド——登録済み
  • 静岡県のほさか栗せん——登録済み(復活の記録付き)
  • 東京の棒きなこ当て(西島製菓・墨田区)——登録済み
  • 神戸の鴬ボール(植垣米菓)——登録済み
  • 岐阜大垣のカルルス(竹屋)——登録済み

そして現在、2026年10月時点で400品超が登録済み、1980年代の駄菓子だけでも100品以上をカバー。これから繁田が一生かけて増やしていく予定です。

繁田からのメッセージ

2014年に書いた「ウチの新店舗にはいつ無くなってもおかしくないお菓子が並ぶと思います」という一文、この気持ちは今も変わっていません。むしろ強くなっています。

12年の間に、本当に多くのメーカーさんが消えていった。でも、消えた商品も、消えゆく商品も、まだ現役の商品も、全部記録に残すことで、”あの時代にそういうお菓子があった” ということを、未来の誰かに伝えたい。

駄菓子アーカイブは、まさにそのための箱舟です。読者の皆様からの「こんなお菓子もあったよ」情報も歓迎しています。一緒に”残していく”仕事に加わってもらえたら嬉しいです。

※ 参考:『ご当地スーパーマーケット』(2014年刊行)、『改訂版 まだある。』シリーズ(大空ポケット文庫)、『昭和こども新聞』(日本文芸社)

※ 関連記事:あまのや繁田商店 駄菓子アーカイブ(400品超収録)、ウイスキーボンボン 7層分析——なぜ”いい人たち”は売れるのに辞めるのか——消えていく菓子メーカーと、残していく記録のシリーズとして。