山西商店のすごい箱

商魂たくましい駄菓子屋、山西商店の画期的すごい箱について掘り下げます。

028 (2)

安倍口新田のやまにし商店で、こんなモノを見つけました。

小売店に配達してまわっていると、それぞれのお店で様々な工夫をしていて、なかなか面白い。
開業何十年かわかりませんが相当前からやっているネイティブ系駄菓子屋、やまにし商店では、ずっと前からこんな箱をキラーコンテンツに商売しています。

 

006 (2)

箱の上面に穴が開いていて、棒にくくられた糸の先には色のついた板に繋がっています。
棒をつまんでその穴に挿します。
すると棒と一緒に板がストンと落ち、穴から出てきます。

金が一等賞。
続いて銀→赤→黄→青の順に当選確率が上がっていきます。
一回30円。(税別表記が流石しっかり者のおばちゃん)
大当たりの金が出れば100円分、店内のお菓子なんでも買ってよし。
ハズレの青が出たら別の箱(お菓子やおもちゃが入っている)の中から好きなものを持っていってね。
という寸法です。

まぁひらたく言うと単なるくじ引きを大袈裟にやっているだけです。
大人目線では「もっと簡単な仕組みのもので良いのでは?」と思うかもしれませんが、このワンアクションが子ども達にとってはたまらない訳です。

おばちゃんいわく、これでだいぶ稼がせてもらったらしい

「アンタこれがバカ当たりだだよ、これを考えたあたしは天才だよ、30年前に思いついてお父さんに作ってもらって、随分稼がせてもらったよ」

だそうです(笑)

実際かなり賢いおばちゃんで、ハズレ箱の中には賞味期限が近づいてきた30円相当の駄菓子、スーパーボール当てなど当てモノで残ってしまったハズレおもちゃなど、店として処理に困るもの。
しかし子どもは支払った30円相当の価値のあるモノと交換できる上、ギャンブルに挑戦できるということで何の不満も無く、店にも無駄なく、お互いにメリットがある。
とても合理的なんですよね、月10万円の売上、2万円の利益が出れば御の字という現代の駄菓子屋。
30円のロスだって全然無駄にはできない。

もう、これはすごい箱としか良いようがありません。

恐るべし。

 

~ 追 記 ~

安部口の方にある駄菓子屋「やまにし」へ行ってきました。
周りにコンビニや大型店が無く、この規模としては驚異的な売り上げの店。
おばちゃんも例の「すごい箱」も健在でした。

改めて確認すると、仕様が少しマイナーチェンジしていました。

032

以前は色紙やアルミ箔のついた板きれが糸の先に付いていましたが、今はこの布袋に変更。

039

中を開くと、金色のビー玉が出てきました。可愛いですね。
ビー玉の色で、一等から5等までを表すようです。
以前の板きれだと、一等の金二等の銀などは、下から手を入れて探られるてどれが当たりか分かってしまうので、ビー玉in布袋に変更したそうです。

002

子どもたちにとって最も重要なのがこのハズレ箱。
ハズレを引いた子は、この中からどれでもひとつ選んで持っていってOK。
箱内ラインナップ如何によってチャレンジするかどうか決める子もいる程、彼らにとって重要な判断基準になるわけです。
30円の出費に対して、ギャンブル+ハズレ分、リスクとリターン、費用と効果が見合うかどうか。

おばちゃんとしては、売れ残り商品を優先してハズレ箱に投入したい所だけど、子どもたちもそれを分かっているし、モグリの素人さんは手を出すんじゃねぇ…みたいな感じなんでしょうか。

おばちゃんvs子どもたちの仁義無き戦いは続く…

ABOUTこの記事をかいた人

フリーペーパーの編集、量販店バイヤーを経験したのち、実家の家業である菓子問屋「あまのや繁田商店」を継ぎ4代目に。 旅とバイクとコーヒーが好き。