ココアシガレット75年史—オリオンの発明、ピース紺、禁煙応援、リトルボブドッグ

オリオン ココアシガレット

ココアシガレットとは?——1951年から売れ続けるロングセラー駄菓子

ココアシガレットと言えば、「タバコ型の駄菓子」で有名ですね。

私もはじめてこの駄菓子を手に取ったとき、まるで本物の煙草みたいでこれ食べられるの??ととても驚きました。ココアシガレットはオリオン株式会社が1951年から発売している砂糖菓子で、駄菓子界のロングセラー。ピーク時には年間1,800万個出荷するほどの化け物級の最強商品でした。当時は5円で販売され、原料も砂糖・ココア・ハッカだけのシンプルなものだったそうです。現在ではココアとハッカをミックスしたレシピで、口に入れた瞬間から最後まで均質な味が楽しめるようになっています。

ココアシガレット パッケージ写真

なぜタバコ型?——「早く大人になりたい」子どもの憧れをかたちに

ところでなぜタバコ型かというと、当時、少年少女たちがタバコを吸う真似をすることが多く、その「早く大人になりたい」という願いをひと足先に叶えるための商品だったといいます。憧れる大人に少しでも近づけるように、この駄菓子を開発するなんて、オリオン株式会社は人の気持ちをよく汲み取っていてめちゃくちゃ優しい……。流石と感じました。

タバコ型駄菓子の歴史的な背景については、こちらの記事にもまとめています。

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オリオンの逆転発想——タバコごっこから、禁煙応援ツールへ

当時「大人になりたい子どもの夢を叶える」ためだった商品ですが、現在オリオン株式会社は、なんと禁煙を応援する立ち位置に軸足を移しています。え?子どもの夢を叶えるためだったのに?と思いましたが、これには理由があり、時代とともに喫煙が健康問題として認識されるようになり、禁煙や分煙が推奨される社会になったから。また、2021年10月1日の「たばこ税増税」で価格高騰があり、禁煙を考える人が増えたのも理由の一つです。以前、オリオンの社長がブログ(オリオン ココアシガレット | あまのや繁田商店ほっとらいん)で触れられていました。

オリオン 禁煙応援シガレット組立販売キット

そこで面白いのが、オリオンは「禁煙応援シガレット組立販売キット」という禁煙対策セットまで開発してしまっているところ。ディスペンサーにココアシガレットを補充して、専用の「禁煙応援パスポート(nospo)」を入れると、シガレットが1本ずつ取り出せる仕組みになっています。1時間に1本吸っていた人がタバコの本数を大幅に減らせた——という報告もあるそう。恐るべし……オリオン株式会社。「タバコごっこ」から「禁煙ツール」へ、同じ商品で真逆の役割を担ってしまうこの柔軟さこそ、ロングセラーの秘訣なのかもしれません。

パッケージの秘密——「ピース紺」とレイモンド・ローウィ

パッケージの色にも秘密があるのはご存知でしょうか。実はあの紺色、「ピース紺」と呼ばれています。これは今も販売されている煙草「ピース」の箱を示す言葉で、1950年代につくられた造語です。1952年にピースがリニューアルされて売上を大きく伸ばし、「商業デザインの成功例」として戦後復興期の日本の産業界に影響を与えました。その頃に「ピース紺」が流行色となり、世界へ広まったといわれています。ココアシガレットのパッケージも、このピースの新デザイン発表後にリニューアルされ、現行品とほぼ同じ紺色の箱になりました。

左:改装前 右:改装後

画像出典:たばこと塩の博物館「トピックス:ピースのデザイン改装」

こちらの写真がリニューアル前(左)と後(右)です。比べてみると、おぉ……めちゃくちゃカッコよく進化していて、これは流行るなと写真で見ても分かります。ちなみにデザインしたのは、不二家の「F」マークを手掛けたことでも有名な、20世紀を代表するデザインの巨匠レイモンド・ローウィ。そんな大物にデザインされたパッケージが、いまも駄菓子屋の棚で現役でいるのは、日本人として誇らしい話です。弊社としても、このデザイン遺産を忘れずに大切に扱っていきたいですね。

製造の裏側——1分間に720本、60年で約2億1,000万個

さて、パッケージだけでなく、製造工程も相当すごいです。

この動画はオリオン株式会社の公式サイトでも紹介されていますが、YouTube「プロセスX」でココアシガレットの製造過程が公開されています。

拝見して、私「おおおおおおー!!!」と大袈裟に叫びたくなるほど感激しました。まず、造粒機という機械で原料を網の目から押し出して粒の状態にするのですが、こんなにたくさんの砂糖を細かく、一瞬で粒にする工程が凄すぎてたまりません。

さらに打錠工程(シガレット型)では約4トンの力で圧縮して粒を棒状に固め、1分間に720本のペースで菓子を作れるそう。恐るべし、驚異的な最強のライン……と大興奮してしまいました。動画内にはミニコーラと呼ばれる缶飲料型の容器に入ったコーラ味のラムネ菓子の製造動画も収録されているので、そちらも合わせてぜひ見てみてください。

このシガレット、これが約60年間で約2億1,000万個、毎年350万個作られているそうです。数字だけでもトップクラスの人気商品というのが伝わってきます。もちろん、ココアシガレットは弊社でも取り扱っていますので是非ご購入下さいませ!

 

ココアシガレット バリエーション写真1ココアシガレット バリエーション写真2ココアシガレット バリエーション写真3ココアシガレット バリエーション写真4

バリエーションと隠れキャラ——「リトルボブドッグ」の正体

ココアシガレットには、サイダーやコーラ味などさまざまなフレーバーが存在します。弊社ではコーラ、ソーダ、ミニビタC、抹茶味を販売中。みなさんは何が一番好きですか?ちなみに筆者の私はコーラ味。コーラも砂糖菓子もどちらも好きなので、両方楽しめて嬉しい商品でもあります。

ところで、ソーダやコーラ味のパッケージに描かれているリトルボブドッグ、ご存知でしょうか。リトルボブドッグは1988年に日本で生まれた白い犬のキャラクターで、オリオンのコーラシガレットや各信用組合のイメージキャラクター、子供服・ベビー用品・靴の分野など、幅広く親しまれているキャラクターだそうです。

HAC リトルボブドッグ わくわくピアノ

私もこのブログを書きながらお恥ずかしながら初めて知りました。てっきりオリオンのシガレットだけに使われているのかと思いきや、わくわくピアノや計算ドリルなど至るところに登場していて、このキャラクター、めっちゃ人気なんだ……す、すげー!!とびっくり仰天でした。

じつはリトルボブドッグ、日本発でありながら中国では国民級キャラクターとして愛されていることが最近わかりました。詳しい取材録はこちらの記事にまとめています。

コーラシガレットの正体は「日本発・中国で国民級」のキャラだった。リトルボブドッグ取材録
今回は「コーラシガレット」と「サイダーシガレット」の話です。ココアシガレットに続くオリオン株式会社の名品なんですが、実はこの2品、パッケージがとんでもなく貴重だという話を書きたい。オリオン株式会社「コ...

驚いてばかりの私ですが、コーラのシガレットを持っているリトルボブドッグ、とっても可愛いなと思います。デザインをされた方のセンス抜群です!大人子ども関係なく、世界の多くの人々に愛されているのがよく分かります。

まとめ——75年愛されるロングセラーの秘密

前編・後編の2部構成だった記事をこの度1本にまとめました。改めて振り返ってみると、ココアシガレットが1951年から75年にもわたって売れ続けている理由は、単なるロングセラーの偶然ではなく、時代の変化にあわせて「タバコごっこ」から「禁煙応援」へと役割を変えられる柔軟さや、レイモンド・ローウィの「ピース紺」パッケージ、1分間720本という驚異の生産ライン、そしてリトルボブドッグという愛されるキャラクター——そのすべてが積み重なってできていることが見えてきます。子どもの夢に寄り添い、禁煙に悩む大人にも手を差し伸べる、そんな人々に寄り添った商品づくりを続けるオリオン株式会社。これからもずっと愛され続けますように。

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