竹屋煎餅本舗「カルルス」

【2026年追記】 この記事は2014年1月に書いたものです。改めて竹屋煎餅本舗カルルスを掘り起こすと、
チェコの温泉保養地カールスバート(カルロヴィ・ヴァリ)に発祥するウエハース文化が、
明治の日本に輸入されて100年以上経ってもなお、地方の煎餅メーカーで作り続けられている——
壮大な歴史物語の末端に、この150g 300円くらいのお菓子が位置していました。
記事末尾に「カルルス菓子 125年の歴史を掘り起こす」を加筆しました。
19世紀末のカルロヴィ・ヴァリ(カルルスバード)の温泉プロムナード。ゲーテ風の紳士が、手に竹屋煎餅本舗のカルルス(カールスバーダー・オブラーテンの日本版)を携えて秋の石畳を闊歩する——700年の菓子史が時空を超えて交差する一瞬。
19世紀末のカルロヴィ・ヴァリ(カルルスバード)の温泉プロムナード。ゲーテ風の紳士が、手に竹屋煎餅本舗のカルルス(カールスバーダー・オブラーテンの日本版)を携えて秋の石畳を闊歩する——700年の菓子史が時空を超えて交差する一瞬。

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たまにはお菓子の話題…竹屋煎餅本舗「カルルス」です。
竹屋は岐阜県のお菓子メーカーで、どちらかというと「みそ半月」の方が有名ですが、こちらの方がネーミングとパッケージがたまりません。
この手の煎餅は他にも「鉱泉せんべい」とか、「炭酸せんべい」とかの名前でよく出回ってます。
派生としてはクリームがはさまったゴーフルなど。
「カルルス」というのは、昔チェコの「カルルス・バード」という地方で作られていた焼き菓子を元に作られていた事が由来のようです。
で、なんでカルルスにしろ鉱泉にしろ、煎餅と温泉が関係あるの?って話なんですが、どうやら原料に実際に重曹と同じ働きのある炭酸性の温泉水を混ぜて作っていたそうです。
だからカルシウムだとかナトリウムだとかが豊富に含まれていて、均等な無数の気泡も、そうやってできたものですし、パンと同じで、空気を含むと口の中でより香りが立つんですね。
へぇーへぇーです
サクッと甘くて栄養豊富なカルルス、いかがでしょうか!


【2026年追記】カルルス菓子 125年の歴史を掘り起こす

2014年の記事で「カルルスバードという地方で作られていた焼き菓子が由来」と軽く触れた部分、改めて深く掘ってみました。これが、思いもよらぬ深い歴史の物語でした。

カルルスバード=チェコ・カルロヴィ・ヴァリ

「カルルスバード」(Karlsbad)は、現在のチェコ共和国西部にあるカルロヴィ・ヴァリ(Karlovy Vary)という都市のドイツ語名。

  • 14世紀、神聖ローマ皇帝カール4世が発見したと伝えられる炭酸泉
  • 18〜19世紀、ヨーロッパ貴族・知識人が集まる最高級温泉保養地
  • ゲーテ、ベートーヴェン、ショパン、マルクスなどが訪れた記録
  • 特徴は温泉水を飲む “飲泉” 文化——胃腸病の治療として
  • その温泉水で作る「カールスバーダー・オブラーテン(Karlsbader Oblaten)」というウエハースが名物

このカールスバーダー・オブラーテンこそが、「カルルス」の語源。中世から続くヨーロッパの温泉保養地文化が、お菓子としての形で日本まで旅してきたのです。

日本への伝来——明治時代の “鉱泉せんべい” ブーム

明治時代、西洋文化が日本に流入する中で、「温泉保養地の飲泉文化」「温泉を使った菓子作り」が、日本の温泉地で模倣されるようになりました。

  • 兵庫県有馬温泉——有馬炭酸せんべい(1907年頃〜)
  • 福島県飯坂温泉——鉱泉せんべい
  • 長崎県雲仙温泉——湯せんぺい
  • 各地の温泉——鉱泉せんべい・温泉せんべい

これらは全てカールスバーダー・オブラーテンの日本版です。炭酸泉の重曹効果で生地が膨らみ、独特のパリパリした食感が生まれる。科学と文化が融合した、明治のグローバリゼーションの産物。

岐阜県大垣の竹屋煎餅本舗

岐阜県大垣は水の都として知られ、良質な地下水が豊富な土地。この水を活かして明治時代から菓子作りが盛んで、大垣煎餅・みそ半月・落花小菊などの銘菓が生まれました。

その中で竹屋煎餅本舗は、カルルス菓子を岐阜で作り続けている現役メーカー:

  • 社名:竹屋煎餅本舗
  • 所在:岐阜県大垣市
  • 主力商品:味噌入大垣せんべい、みそ半月、カルルス、落花小菊、フライビーンズ煎餅
  • カルルス 150g——A上代 450円前後、ネット通販・スーパー流通あり

登別カルルス温泉説も併記しておく

一方で、北海道登別市にある「カルルス温泉」も、本家カールスバート温泉にちなんで命名された温泉地(1899年開湯)。カルルスせんべいの由来を北海道登別カルルス温泉と誤解する説もあります。

これはどちらも正しくて、どちらも元を辿るとチェコのカールスバートに行き着く、という構造。日本の “カルルス” 文化は、チェコから直接輸入されたルートと、北海道の温泉名を介したルートの二重構造になっているのです。

食べることが時間旅行になる菓子

竹屋煎餅本舗のカルルスを食べるという行為は、こう考えると壮大です:

  • 14世紀 神聖ローマ皇帝カール4世が発見した温泉
  • 18世紀 ゲーテやベートーヴェンが訪れた保養地
  • その温泉水で作られたオブラーテン
  • 明治時代 日本に輸入された温泉菓子文化
  • 岐阜大垣の水の都で、地元の職人が作り続けた
  • 2026年、あなたの口の中でパリッと溶ける

一枚のカルルス煎餅に、700年のヨーロッパ温泉文化史と、125年の日本菓子史が凝縮されている。これは菓子ではなく、歴史の体験装置です。

サクッと甘くてカルシウム豊富、ふっくら軽い——この食感の裏に、こんな壮大なストーリーが潜んでいます。カルルス、ぜひ一度味わってみてください。

※ 参考:竹屋煎餅本舗 商品情報、Wikipedia「カルロヴィ・ヴァリ」「Karlsbader Oblaten」「カルルス温泉」

※ 関連記事:植垣米菓 鶯ボール 神戸1930年、ほさか栗せん 沼津1928年——日本の明治〜昭和初期の地方銘菓シリーズに、岐阜大垣のカルルスを加えます。


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チェコ・カルロヴィ・ヴァリ(カルルスバード)の街並み
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カール4世(神聖ローマ皇帝)——カルロヴィ・ヴァリ温泉を発見したとされる
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ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ——カルルスバードに度々滞在
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岐阜県大垣城——「水の都」大垣は竹屋煎餅本舗の地元
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※ 画像出典:Wikimedia Commons(CC/パブリックドメイン)


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竹屋煎餅本舗の本社(岐阜県大垣市)
竹屋煎餅本舗の本社(岐阜県大垣市) (Wikimedia Commons)